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フカセ釣り、タナを知れば百戦危うからず。タナの取り方とチューニング法を解説

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地磯の足元に押し寄せたベイトフィッシュの大群。この日のベイトは稚鮎でした。

同じ場所に釣り座を設け、「今日は○○(魚種)を釣る!」と宣言して、その通り釣る人と、釣るには釣るが魚種が違う人、全く釣れない人がいます。同じ場所で同じ仕掛けを使っているにもかかわらずです。なぜこういうことが起こるのでしょうか?

宣言通り釣れる人は、大げさに言えば頭の中に水中の風景がある程度イメージ出来ています。水深がどれくらいで、根の状態がどうなっていて、どの辺に本命魚がいるのかといった情報を、経験と知識から推測することができます。そして、その推測が残念ながら正しくなかった時でも、頭の中に常に次善策を持っていて、素早く第二案、第三案に修正でき、最短距離で本命魚にたどり着くことができます。

釣れることは釣れるが魚種が異なる人は、頭の中でプランはそれなりにあって、それを実践しているとは思いますが、プランの精度が甘いか、またはプラン通りに実践ができていないかどちらかです。

魚が釣れるということは、魚がいる場所の近くに刺し餌が正しく送り込まれたということです。しかし、それを本命魚がアプローチする前に他の魚に取られてしまっているということであり、結果正しくないということになります。高活性時であれば、離れた場所からでも本命魚の方から刺し餌にアタックしてくることもあるでしょうが、そういう日は多くはありません。フカセ釣り上達のためには、本命魚の泳層に確実に刺し餌を送り込み、魚の鼻先に餌を流さねばなりません。そして、本命魚にリーチするまでの間に他の魚に刺し餌を食われてはならないのです。

魚の泳層のことを「タナ」といいます。このタナが厄介で、いつも一定の深さというわけではなく、条件によって浅くなったり深くなったりします。フカセ釣りに限ったことではありませんが、タナを知ることが勝利への最短距離といっても過言ではありません。今回は、フカセ釣りにおける「タナ」の話をしようと思います。

目次

地磯フカセ釣りを想定する場合のタナとは?

小アジの群れ。早川港でエギングしていた際のベイトフィッシュ。アジが入っているときはアオリイカの活性が高い。

そもそも、タナはなぜ存在するのでしょうか? 地球規模でいえば、全世界の海域にはおよそ2万種ほどの魚がいると言われています。うち、日本近海には約4,000種が生息していると言われています。これらが自然の掟に従って、互いに食ったり食われたりしながらも、絶妙な均衡を保って生き永らえています。自分の身体の構造や食性、適水温、行動様式などにより、それぞれの魚種が自らの繁栄に最も適した場所、すなわち、安全で、自分たちが摂る餌が豊富にある地形、水質、水温、水深を選んで棲息しています。

地磯フカセ釣りの場合の一般的な魚のタナ

逗子マリーナより江ノ島を望む

地磯でのフカセ釣りを想定する場合のタナとは、言うまでもなく、ターゲットとする魚種が刺し餌を食う水深のことを言います。地磯フカセ釣りの場合、水深は5~20m程度の場所を釣ることになろうかと思いますが、最も深い水深から順に主な魚種を挙げていきます。

底層・・・マダイ、クロダイ、カサゴ、アイナメ、カワハギ、アイゴ、イスズミ、ニザダイ、ベラ、タカノハダイ、キジハタ、イシダイ、イシガキダイ、カンダイ、ヒラメなど

中層・・・メジナ、クロダイ、イサキ、アジ、サバ、カワハギ、ウミタナゴ、スズメダイ、ブダイなど

表層・・・スズキ、メジナ、サバ、シイラ、サヨリ、カマス、ボラ、フグなど

タナはいつも一定ではない

荒れ模様の江ノ島表磯。足場が低いので、ただでさえ満潮時は水没しやすいが、少しでも荒れた日は非常に危険。

先に挙げた、底層、中層、表層にいる魚は、一般的な例となりますが、魚がいるタナというものはいつも同じではありません。水中の光景は様々な要因によって常に変化しています。例えば水温。一般的に水温が高ければ、魚のタナは浅くなり、低ければ深くなっていきます。水質によっても変わります。数日間海が落ち着いた状況が続き、海水がピカピカに澄んでしまうとタナは深くなり、荒天後などで海水が濁っているときは多くの魚の警戒心が緩み、タナが浮いてきます。天気によっても変わります。日光が燦燦と降り注ぎ、底層まで十分に光が届くような状況であれば、多くの魚は警戒してタナが深くなる傾向があり、逆に曇天などで光が届きにくい場合はタナが浅くなることもあります。

この他にも、魚のタナが変わる要因はたくさんあります。表層にプランクトンが豊富に存在し、ベイトフィッシュが表層に溜まっているときなどは、それを追って中型、大型の青物が入ってくることがあります。青物が入ってくると、磯についている多くの魚が一時的に避難してしまうことがありますし、海面に海鳥が泳いでいて、ベイトフィッシュを漁っているときなどもターゲット魚が雲散霧消してしまうことがあります。

海中の潮の流れが二枚潮の時は、コマセが思ったように効いていなくて、狙ったタナに刺し餌を送り込めているつもりでも、全く自分の想像と異なるタナを仕掛けが流れていて、全く魚の反応が得られないなんてこともあります。このように、タナというものは、知識として知っていたとしても、実際はその通りになることはほぼあり得ず、実釣の中で少しずつチューニングしながらターゲットのタナを探り当てる作業が必須になります。

スタートフィッシング時のタナ設定

私がか通い続けている江ノ島表磯のポイント。水深や根の状態などは或る程度把握できている。

勝手知ってるポイントであれば、自分がいる釣座の周辺の水深や地形などが分かっていて、経験則からある程度戦略が頭の中で描けているでしょう。スタート時の狙いのタナと、そこへ刺し餌を送り込むためのウエイト設定を加味して仕掛けを作ることでしょう。

しかし情報が乏しい新規のポイントでは、地元の釣り師に話を聞いたり、釣りを始める前に周囲を隈なく観察して歩いてみて、スタートプランを考えることになると思います。そんな時は、まずは底取りをします。すなわち、竿を出そうとしている場所の正確な水深を測りましょう。

底取りの仕方はいろいろあると思いますが、最も簡単なのが、半遊動ウキ仕掛けにして、ウキの浮力以上のオモリを針先につけて仕掛けを投入します。針にオモリが付いた仕掛けはスルスルと一気に沈んで行きます。

ウキ止め糸の場所まで道糸が出てもラインが止まらず、ウキがそのまま全部沈んでしまったら仕掛けのウキ下が浅いと判断し、ウキ止め糸を動かしてウキが自立した状態でラインの放出が止まるまで、小刻みに調整します。ウキが正しく自立した状態でラインの出が止まっていれば、針先につけたタナ取りオモリが着底していて、そこからウキまでの距離がその場所の水深ということになります。

しかし、水深は一瞬たりとも同じ状況ということはありません。底取りをしたら、必ず底取りをした時間のタイドグラフを確認しましょう。そこから上げ潮なら満潮まで、下げ潮なら干潮まで、どれくらいの時間があり、何cm海面が上下するのかを確認します。タイドグラフを確認する手段がなければ、水深を図った時点での潮位を覚えておきます。何か目印になるものを見つけ。その目印のどのあたりに海面があったかを記憶し、その場所からどれくらい潮位が変化したかを常に頭に入れておきましょう。

さて、スタートフィッシュング時のタナ設定ですが、メジナ狙いの半遊動ウキフカセの場合、コマセをある程度撒いて、魚体が見えないようであれば、水深の半分くらいからスタートすると効率が良いでしょう。水深10mであれば竿一本(5m前後)から始め、様子をみましょう。反応がなければ少しずつ(20~30cm刻み)深くして、反応が出る場所を探ります。

逆にコマセを撒いた際にメジナが目視できるほど浮いてきているようであれば、タナは1.5m~3m程度まで浅くして攻めてみましょう。表層でエサ取りに刺し餌を盗られるようであれば、コマセワークで本命とエサ取りを分断します。泳力の小さいエサ取りはコマセで足下に集め、本命用のコマセは遠投します。また、表層に浮いてきているメジナのサイズが小さすぎるときは、小さなメジナが群れている層の下で上を向いている中型魚、大型魚を狙うため。ガン玉を追加し、素早くエサ取りの多い層をクリヤーし、本命の泳層へ刺し餌を届けることが重要です。

クロダイ狙いの場合は基本は常にボトム狙いで良いでしょう。潮位が変化しても、常に刺し餌がボトムにある状態を作り続けることが大事です。

状況に応じたタナの調整

城ヶ島長津呂の磯

本命魚がいるタナは、ある程度の傾向はあるものの、その日の正確なレンジというのは試行錯誤を繰り返して探し出さなければなりません。水中の環境条件が常に変わり続けているからです。この時に、現在水の中で起こっている現象を想像でき、釣りをアジャストできるかできないかが、最終的に本命を手にできるできないにかかわってきます。ここでは状況に応じたタナの調整法について考えてみます。

アタリがないのに餌がなくなっている

ウキやラインの動きに注視しているにもかかわらず、アタリらしき挙動は感じ取ることができない。しかし、餌だけ盗られているというケース、良くありませんか? こういうケースは、餌を盗っている犯人は本命のメジナである可能性が高いです。ただし、メジナのタナに対して刺し餌のレンジが深いため、アタリが出ないと考えられます。メジナは基本、上から落ちてくる餌に対し、下から勢いよく浮き上がってエサにアプローチし、餌を咥えたら一気にもといたレンジに戻っていきます。通常のコンディションでアタリが出ないで餌が盗られる時は、30cm程度ずつタナを上げてみましょう。

エサが丸残り

メジナ釣りのメインバイト、オキアミは、頭と尻尾を切り落とし、針に対して丸くつるとメジナが吸い込みやすい。

コマセを打ち続けているのに全くアタリがなく、餌も丸残りで戻ってくる場合は、本命がそもそもいないケースが考えられます。理由は付近に大型青物やサメなどが入ってきたケースが一番多いのではないかと思います。しかし、そういう時は餌盗りも一時的にいなくなります。餌盗りはいるにもかかわらず本命が食って来ない場合は、低水温、高水温、潮どまりなどの影響でメジナの活性が下がっているか、一時的にどこかに避難している可能性があります。メジナの場合でも思い切りボトム付近まで刺し餌を沈めてみるか、藻場や隠れ場所となりそうな狭い溝などをピンポイントに攻めるのも一手です。

本命は釣れるがサイズが小さい

木っ端サイズのメジナの猛襲に悩まされることは非常に多いと思います。特に夏の高水温時は、表層から中層にかけて、10cm前後のメジナ、フグ、ウリ坊(イサキの幼魚)、サンバソウ(シマダイ=イシダイの幼魚)、小サバなどが溜まっていて、仕掛けが着水したそばから刺し餌をひったくられ、釣りにならないなんてこともあります。こんな時は、これらが溜まっている層を素早くクリヤーし、中層以深に刺し餌を送らなければなりません。小物がたくさん溜まっている層の下には、それらを下から窺っている良型のメジナが潜んでいる可能性が高いです。

ただし、ここで無闇にガン玉を段打ちし、刺し餌の沈降スピードを上げ過ぎるとコマセの沈むスピードと乖離が起きてしまい、良型メジナに見切られてしまう可能性があります。こういう時はガン玉の増加は最小限にして、それよりも表層の小魚を寄せるためのコマセを足元に先打ちし、その後、離れたところに本命用のコマセを打ち、仕掛けを遠投することで、表層の小魚を回避し、本命用の刺し餌を中層以深へ沈めることができます。釣り始めの頃は木っ端メジナばかりでも、愚直にコマセを打ち続けていれば徐々にサイズアップしてくるはずです。

大荒れのとき

真夏の江ノ島表磯

風が強かったり、沖合の低気圧や台風の影響などで荒れているときなど、仕掛けのコントロールがままならないことがあります。こんな時はサラシの直下、表層から水深1〜2mくらいのレンジをキープします。このあたりにメジナが溜まり、サラシの中で漂流するプランクトンを捕食しています。そのため、ロッドのティップの先端を水中に差し込むようにして、ラインを強制的に沈め、ウキも水面ギリギリもしくは数センチ程度沈めて仕掛けの安定を図ります。ウキを目視であたりをとることは難しいでしょうから、ラインを指でつまんで直接ラインに伝わる魚信を捉えるしかありません。非常にタフな状況ではありますが、一発大物が狙えるチャンスでもあります。

高活性で表層まで浮き切っているとき

コマセに群がるエサ盗り

高活性時は、メジナが表層まで浮いていて、背びれが水面から出ているという状況に出くわすことがあります。こういう状況では、ハリスに打ったガン玉はすべて外し、ハリス、針の自重だけで表層から1.5m程度くらいのレンジを釣りますが、仕掛けを馴染ませるのが意外に難しいく、絡んでしまうこともあるので、狙うポイントより遠めに仕掛けを投げて、リールを巻いてラインを張り気味にしてゆっくり刺し餌を沈ませるとアタリがとりやすいでしょう。

クロダイは神出鬼没で、ボトムから表層まで、餌があれば全層を自由に泳ぎ摂餌行動をとります。上から落ちてくるものに反応するのはメジナも一緒ですが、中層にいるときにボトムまで潜って餌をとることも普通にありますので、表層に浮いているスイカも食べますし、ボトムに潜んでいるカニやイソメ類、ストラクチャーについているムラサキイガイもレンジに関係なく捕食します。ルアーでクロダイを狙うチニングでは、ホッパーでトップを引くこともありますし、ミノーで中層を引くことも、テキサスリグなどで底層をボトムバンプで誘うこともあります。

ただ、フカセ釣りや紀州釣り(ダンゴ釣り)などでは、最もクロダイの興味を惹くのは、底ギリギリの場所を刺し餌が這うように漂うセッティングであるため、基本はオールシーズンボトム狙いでOKです。

常にタナを意識し、こまめにレンジを調整するひと手間が重要!

地磯フカセ釣りでのメジナの釣果

いかがでしたでしょうか? ターゲットの魚がどのレンジにいるかということは、水中カメラや魚探でも使わない限り、正確には分かり得ないことです。しかし、魚種ごとに、特定の状況における行動の傾向というものは確実に存在しますので、経験値を積み、ターゲットの魚の行動パターンを学習し、頭の中で仮説を構築し、その仮説に対し答え合わせをして行くという、仕掛けのこまめなチューニングをすることが勝利への近道です。

必勝パターンというものは存在しないのかもしれませんが、何もせずただただ粘るだけでは能が無いというものです。また、闇雲にタナを上下させるだけではたとえ良い結果が出たとしても、それは「まぐれ」の域を出ません。

フカセ釣りは人間と魚の知恵比べの要素が高いメソッドです。自ら考えて、結果としてその行動が正しくなかったとしても、根拠と意志を持ってチューニングしたのであれば、うまく行かなかったときのリカバリーの案も次々と湧いてくるはずです。そして、その結果、思い描いたストーリー通りに本命をかけることができたなら、これこそが、フカセ釣りの最大の醍醐味であると断言できます!

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