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全遊動沈め釣りは寒グレ・寒チヌ狙いのためには知っておきたいテクニック、ラインと指先に全神経を集中!

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日の出が遅くなってきた江ノ島表磯。2025.11.3


例年より3週間ほど長く続き、観測史上最高気温、猛暑日日数記録を何度も更新した、長く厳しかった2025年の夏がようやく終わり、秋を飛び越して一気に冬に向かっている日本列島、比喩ではなく、本当に「二季の国」になってしまったようです。そんな大変な夏場を耐え抜いた我らフカセ師にとって、これからの季節、すなわち、冬の始まりから乗っ込みの終わり(梅雨入り頃まで)までの間は、いよいよ磯上物フカセシーズン到来というわけです。

水温が下がる冬の時期は、寒海性の魚種以外はすべからく活性が下がります。すなわち釣りが難しくなります。それでも、フカセ師は「寒グレ」、「寒チヌ」を求めて極寒の磯へ上がります。なぜ冬の時期がいいのか、難しい冬の時期をどうやって攻略するのか? 本記事では、少し難易度は高いですが、一年中使え、特に厳冬期の活性の下がったターゲットを、底層から表層まで全エリアを幅広く探ることができる、全層沈め釣りにスポットをあて、冬季のフカセ釣りのポイントについて解説して行きます。

目次

なぜ磯上物フカセ釣りは冬季がいいのか?

「寒グレ」、「寒チヌ」と言われるほど、フカセ師にとっては特別なシーズンが厳冬期なのですが、活性が低く、釣りが難しいとされるこの時期、何がそう言わしめるのでしょうか?

エサ盗りが少ない

フカセ釣りはコマセを撒いて魚を寄せ、その中に刺し餌を紛れ込ませて釣るメソッドなので、効率の良い釣りといえるのですが、これは諸刃の剣で、当然、本命以外の魚も寄せてしまいます。フグを筆頭に、ベラ、小サバ、シマダイ(イシダイの幼魚)、ウリ坊(イサキの幼魚)、ウミタナゴやネンブツダイといった小型魚に席巻されてしまいます。これら小型魚は表層付近で群れていることが多く、コマセが着水すると大挙して集まってきます。こうなってこうなってしまうと、仕掛けが着水した瞬間に刺し餌をひったくられてしまい、釣りになりません。イライラするため、精神衛生上も良くありません。

エサ盗りがたくさんいて釣りにくいときは、エサ盗りを足止めにするためだけのコマセを足元に打って、本命を寄せるためのコマセを沖合に打つなど、エサ盗りを本命から分断する対策を講じなければなりません。それでもエサ取りの猛攻から完全に逃れ、本命だけを釣るということはほぼ不可能です。

しかしこうしたエサ盗りは、青物など大きなフィッシュイーターが入ってきたときに一目散に散ることがあります。また、身体が小さいエサ盗りは温度変化に弱いため、冬季は水温が安定する深場へ移動するので本命が狙いやすくなります。

ライバルが少ない

いわゆる行楽シーズンと呼ばれる時期は、当然釣りを楽しむ人も多くなり、交通の便が良かったり、駐車場が充実している釣り場などは立錐の余地がないほど混雑してしまうことがあります。

パーソナルスペースを広めに要するフカセ釣りは、混雑している場所で行うことは非常に憚られます。長い竿を振るいますし、コマセを撒くこともあり、できる限り釣り座を広く取れる場所で行う必要があります。しかし、季節がアウトドアアクティビティに適したシーズンは当然のことながら釣り人の数も多く、フカセ師が釣りをゆったり楽しむ余地はなかなか確保できません。

北風が吹きすさぶ厳冬期であれば、一部の好きもの以外は釣りをすることは少ないでしょう。そういった意味で、冬は比較的自分の釣り座が確保しやすいシーズンと言えます。寒いのさえ我慢できれば、心置きなく釣りが楽しめるというわけです。

一発大物が狙える!

45cmの乗っ込みクロダイ。グレ針5号、1.5号ハリスでキャッチ。

水温が低い厳冬期は、変温動物である魚類の多くは活性が下がっており、エサを求めて積極的に泳ぎ回る行動をしなくなります。晩秋までに体に脂肪を蓄え、厳冬期はなるべく体力を消耗しないよう、必要最小限の運動量で冬を乗り越えようとします。

しかし、厳冬期だからといって絶食することはなく、生命維持に必要な捕食は当然するわけです。餌の量も少ないため、活発に泳ぎ回ることもほとんどなく(朝夕のまづめ時に積極的に捕食に出る時間がわずかにあります)、基本は自分の鼻先に流れてきたエサを捕食するにとどまります。しかしこの時期のメジナ、クロダイは、やがて来る春の産卵期に向け、体力をつけなければならないため、全く捕食しなくなることはなく、どちらかというと、体力の消費を抑えて、来春の産卵に向かって準備をしている段階です。この、来春産卵を予定している成熟した個体は比較的サイズが良く、パワフルなファイトを堪能できるというわけです。

食味が一番良い時期である

常に泳ぎ続けていなければ呼吸ができない赤身の回遊魚は別として、居着きの白身魚は厳寒期は魚が体力を奪われないように、身体に脂を溜め込みます。また、冷たい水にさらされるため、筋肉が引き締まります。そのため、歯ごたえが良く、甘みを含んだ脂が乗った、最高の食味が楽しめます。

「寒グレ」、「寒チヌ」、「寒ボラ」、「寒ブリ」など、冬季に食味が最も良くなる種が多いです。これらの種も、真夏の高水温期は、食性の変化などが原因で磯臭くなり、食味が落ちるものが少なくありません。そういった情報を、水産業従事者、市場関係者、職業料理人の次にたくさん持っているのは釣り師ではないかと思います。

厳寒期は、刺身はもちろん、煮ても焼いても揚げても鍋のタネにしても、最高に美味な魚を堪能できる機会が多いため、うまい酒の肴を求めて、寒風吹きすさぶ海へ敢えて出る呑兵衛釣り師が意外と少なくないのかもしれません(私も含めて!)。

厳寒期のフカセ釣りに効く仕掛けとは?

冬の海は危険がいっぱい。絶対に体を濡らさないことが大事

冬季のフカセ釣りはその他のシーズンと比較して難しいことは間違いありませんが、攻略法は基本一緒です。他のシーズンと違うのは、ターゲットの活性とタナです。メジナにしてもクロダイにしても、エサを求めて積極的に泳ぎ回ることは少なくなります(活性の低下はメジナの方が顕著)。

メジナの場合、水温が15℃を下回ると活性の低下が始まり、12℃以下では藻場や岩礁などの狭いところに身を潜め、あまり泳がなくなると言われています。クロダイの場合はメジナよりも低温耐性も高温耐性も強く、水温がひとケタになっても捕食すると言われています。

いずれにしても、活性が低下していることは確かですので、闇雲にコマセをたくさん撒いてもなかなか結果に結びつかない可能性があります。動きの鈍いターゲットの鼻先に刺し餌を持って行き、口を使わせなければなりません。そんな時に有効なのが「全遊動沈め釣り」です。

全遊動沈め釣りを徹底解説!

全遊動沈め釣りとは、「ウキ止めをつけず、トップからボトムまで、すべての層を探る釣り」のうち、「ウキごと沈め、風の影響を受けずに深い層まで仕掛けを送り込んでターゲットに口を使わせる」釣りのことを言います。

全遊動沈め釣り仕掛け

全層沈め釣り仕掛けは上記が基本です。ウキ止めがついていないため、仕掛けは原則、どこまでも出て行きます。この仕掛けは、大変軽い仕掛けのため、最も重要なことは「仕掛けを潮に馴染ませること」です。海中では複雑に潮が流れています。表層付近では沖に払い出すような潮の流れでも、中層付近では自分に向かってくる「当て潮」になっている「二枚潮」状態であることも少なくありません。

そんな時、ウキが水面から出ている状態のままであると、いつまでたってウキの流れる方向と仕掛けが流れて行く方向が異なるため、仕掛けがいつまでたっても水中へ入って行きません。そのため、ウキごと水中に沈めてしまい、ウキの下の潮受けに中層以深の潮の流れを掴んでもらい、仕掛け全体を引っ張ってもらいます。こうすることで、仕掛けは水中で一直線になり、仕掛けが「馴染んだ」状態になり、ゆっくりとボトムへ向かって沈んで行きます。

潮の流れが速すぎる、波っ気が強くて仕掛けのコントロールがやり辛いときは、ハリスに適宜ガン玉(ジンタン)を打っても良いでしょう。

厳冬期であれば、仕掛けが沈んで行く途中でエサ盗りに邪魔されたりすることは少ないでしょう。主なゲストはブダイ、タカノハダイ、フグ、ウミタナゴ、カワハギ、カサゴ、アイナメ、ボラなどがあげられます。

道糸はサスペンドタイプ、針は沈め釣り対応の重量針を!

全遊動沈め釣りはボトム周辺での勝負になることが多いため、道糸はサスペンドタイプを使います。先にも書いた通り、ウキ自体沈めてしまうので、フローティングタイプの道糸よりも水中でステイするサスペンドタイプの道糸を使う方が仕掛けのなじみが良いです。

針は「沈め釣り用」の太軸重量針を使うことが好ましいです。ジンタンをハリスにたくさん打って重くするのではなく、針に自重を持たせ、刺し餌を違和感なく沈める方が結果が良いことが多いです。また、厳寒期は活性が低く、口をなかなか使ってくれないことが多いため、針のサイズは高活性時より1サイズ落とすと結果が出ることがあります。

仕掛けを正しく馴染ませるために

全遊動沈め釣りの仕掛けは非常に軽いので、仕掛けを正しくポイントに送り込むことが難しいため、潮受けパーツに潮流を掴ませて仕掛けを海中へ引っ張ってもらうと先ほど書きましたが、これを実行するためには、着水した仕掛けが正しく真っ直ぐになっている必要があります。そのため、コマセを打ったポイントよりも数メートル先に仕掛けをキャストし、着水した後にコマセを打った場所までリールを巻いて針・ハリス・潮受けパーツ・ウキの順番でラインスラックなく一直線になるようにします。仕掛けが真っ直ぐになったらテンションを緩め、仕掛けを針先からゆっくり沈むようにコントロールします。

潮受けパーツが表層をクリヤーし中層の潮流を掴むと、にわかに沈みが速くなり、道糸が少しずつ自然に放出されて行きます。これが「仕掛けが馴染んでいる」状態ですので、出過ぎたラインスラックを少しずつ回収しながら、仕掛けをボトム付近まで沈めて行きます。

アタリはラインの動きを手で感じ取る

全遊動沈め釣りに限った話ではないのですが、ウキ止めがついていない全遊動仕掛けでは、そもそもウキを水中に沈めているため、よほどの高活性時でもない限り、ウキ止めをつけ、タナを確定させる半遊動仕掛けと比較すると、ウキの動きでアタリをとることは難しいと言えます。

アタリは基本的にはラインの動きを読み取るのですが、厳冬期は非常にアタリが小さいことが多いので、ラインスラックが多いと見極め出来ません。潮の流れをよく見て、海面にラインを置く位置を適宜調整しながら、張り気味でもたるみ気味でもない、リールのハンドル1回転でラインスラックが完全に取れるくらいの絶妙なテンションを維持し、できればベイルは上げたまま、リールを持っていない手をスプールに添えてラインを軽く触る、或いはリールフットを握っている手の人差し指にラインを掛けるなど、触感でアタリをとるといいでしょう。アタリを感じたらベイルを倒し、フッキングに備えます。

ただし、通いなれた場所で、釣り座周辺の水深が良く分かっている場合は、不要な根掛かりを避ける意味で、ウキ止めをつけて、敢えて半遊動仕掛けで攻略しても良いでしょう。

沈み根、ハエ根、藻場のキワを狙え!

厳冬期の全遊動沈め釣りは、ターゲットがあまり活発に泳ぎ回らないため、高活性時には狙いどころとなる、潮通しの良い沖目の潮目などよりも、足元周辺の沈み根、ハエ根、藻場など、魚が身を潜められるポイントを重点的に狙う方が釣果を期待できます。ただし、水深が極端に浅いところ(3m未満)では、水温が安定しにくいため期待薄となります。少なくとも6m以上(10m以上あれば理想)は欲しいです。足元からいきなりドン深になるような場所で、根のキワ、藻場直撃ができれば最高です。

潮の流れが強すぎる場所は、厳冬期の体力を温存しながら生活している魚たちには厳しいため、トロ場と言われる、流れが緩く、水深がある場所に避難していることが多いでしょう。遠投で仕掛けやコマセが投入できる距離に離れ根がある場合は、果敢に狙っても良いでしょう。

コマセのレシピはひと工夫必要

厳寒期のコマセはひと工夫が必要です。コマセの基本は、メジナ狙いは拡散性、クロダイ狙いは沈降性を重視し配合を決めます。そして、「コマセの切れ目が縁の切れ目」と言われるように、潤沢に撒かなければならないのですが、厳寒期に限っては、メジナ狙いでも沈降性を高めるレシピに寄せる必要があります。

ベースとなる配合コマセと、それに対応するオキアミブロックを加えますが、特に厳寒期のメジナは藻食性が強くなりますので、現地で採取したアオサなどの海苔を細かく砕いたものを添加したり、アオノリを大量に添加した配合コマセをベース材に使うなど、冬仕様の配合にします。また、寒さ、低水温のピークの頃は、メジナはオキアミを食わない個体も出てきますので、オキアミブロックの量を減らして米ぬかやパン粉など、植物性の材料を増やしてもいいかも知れません。また、拡散性は極力抑えたいので、米ぬかを多めに加えてコマセのまとまりを良くして沈降性を高める工夫をして、じっとしているターゲットのなるべく近くにコマセを降らせましょう。

刺し餌も、オキアミで反応が得られない時は、現地採取の海苔をちぎって折りたたんだものを針に刺したり、ホウレンソウを茹でたものを使ったり、練り餌を使ったり、植物性の餌を使うことで、シブいターゲットに口を使わせる戦略も準備しておくと良いでしょう。

とにかく、厳寒期のフカセ釣りは、チャンスはそんなに多くないので、様々な一手を用意しておき、あれこれ試しながら一回でも多くのチャンスメイクをして、引き寄せたチャンスを確実にモノにしようという気構えが重要です。

厳寒期のフカセ釣りは我慢の先に素晴らしい景色がある!

丸々と肥ったメジナ。ここまで良い体つきのものは当然引きも強く、食味も良い。

いかがでしたでしょうか? ここまで、厳冬期の全遊動沈め釣りについて解説してきましたが、この釣法は厳冬期に限らず使えます。高活性時、どのタナで本命が食ってくるかわからない時など、全遊動仕掛けであらゆるレンジを探るようなシチュエーションでも使えるテクニックです。その場合は、どのレンジで本命が食ってきたのかを把握する必要がありますが、通常のラインでは何mくらい沈んだかなどはなかなかわかりづらいと思います。

そんな時は、全層フカセ釣り用のマーカー付きライン(一定ピッチごとに色が付いていて、何mラインが出ているかがおおまかに分かるライン)もありますので、使ってみても面白いでしょう。

しかし全遊動沈め釣りが面白いのはやはり「寒グレ」、「寒チヌ」釣りだと思います。寒く、チャンスも少なく、ひたすら我慢の釣りであることは否めませんが、その少ないチャンスをモノにできた暁には、素晴らしい景色が待っています。ぜひ挑戦してみてください!!

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