
釣りをするという行為は基本面倒くさいんです。いろんな道具を揃えなければならないし、消耗品もたくさんあるし、準備、後片付けが大変だし・・・。しかしそんな面倒などモノともしない楽しさ、癒し、感動、学びがたくさんあるんです。だから半世紀近く釣りを続けていても全く飽きることがありません。
若い頃はタックル集めや仕掛けパーツにこだわり、ありとあらゆるものに手を出してきましたが、年齢を重ねるにつれて、タックルはどんどんシンプルになって行きました。昔は現地でどんな釣りでも対応できるようにと、家出少年かというくらいの大荷物で電車に乗って釣りに出かけていましたが、現在は釣りジャンルごとに最小限の持ち物だけをパッケージングして出かけています(車で出かけることがほとんどになりましたが)。
もちろん、思い立ったらすぐに釣りをやってみる、ランガンでキャッチ&リリースということであれば、ロッド一本とリール一個、ルアーをいくつか持っていれば成立します。しかし、休日にじっくり釣りを楽しむ場合は、ターゲットを決め、釣り方を決め、準備するタックルを決め、その他用品、装備品を決めることでしょう。快適に釣りをしようと思えばそれなりの荷物の量になるはずです。そんな中、意外な盲点となるものが水汲みバッカンではないでしょうか?
たかが水汲みバッカン、されど水汲みバッカンです。今回は、水汲みバケツのタイプと選び方、おすすめの商品を紹介して行きます。
水汲みバッカンを使う場面

水くみバッカンとひとことで言っても、さまざまな形状、材質、容量などバリエーションがあり、選ぶのに迷ってしまうかもしれません。どういうシーンで、何のために使うのかについては、アングラーのニーズにより若干異なりますが、これがないと快適に釣りができない重要なアイテムです。冒頭で言及した、キャッチ&リリースのランガン釣り、或いはオフショア釣り以外のシーンには欠かせないアイテムと言えるでしょう。そして、最も多用途なアイテムと言っても過言ではありません。水汲みバッカンを使うシーンは以下が考えられます。
釣った魚の観賞用

子連れ釣行の時などは、メインの用途はこれではないかと思います。釣った魚を一時的水汲みバッカンの中に入れ、魚を鑑賞するために、透明の水汲みバッカンに入れてしばらく活かしておく用途です。この用途では、注意したいことがあります。それは、魚にダメージを与えないよう最大限の配慮をすることです。小さな水汲みバッカンに何匹も魚を入れたり、魚を入れたバッカンに頻繁に手を入れたり、炎天下に放置したりすれば、あっという間に魚は死んでしまします。持ち帰って食べないのであれば、鑑賞したら速やかにリリースしましょう。
また、鑑賞中はこまめに水を換えなければなりません。日光が当たる場所においておけば冬でもものの数十分で水温が上がってしまい、魚は弱ってしまします。長時間鑑賞するのであれば、15分おきくらいに水を換えなければなりません。そういった意味では、魚を入れたまま水の交換ができる、ジッパー式のメッシュ蓋がついた水汲みバッカンが便利です。
さらに、粘液で体表を保護しているタイプの魚と他の魚を一緒に入れてはいけません。粘液には微量ながら他の魚には有害な成分が含まれています。すなわち、フグやヒイラギなどと他の魚を一緒に入れてはいけません。
三脚を固定する重しとして使う

堤防やサーフからの投げ釣りをする場合、ロッドを三脚にかけてアタリを待つというシーンが多くあるのですが、写真のような軽量アルミ製伸縮式の三脚は三脚自体の重量が軽く、強風時などは三脚ごと飛ばされてしまうことがあります。
対策として、こういう軽量アルミ三脚には、三本の脚の根元の部分にフックが内蔵されているモデルがほとんどです。このフックに水を入れた水汲みバッカンを掛けられるようになっています。こうすることで、三脚がしっかりと地面を掴み、風にも耐えられるようになりますし、汚れた手を洗うための水桶の役目も果たします。
コマセを作る

フカセ師にとっては、水汲みバッカンがなければ釣りが成立しません。コマセを作るには海水が必要不可欠です。コマセ柄杓は常に水を張った柄杓ホルダーに入れておく必要があります。カップが乾燥してしまうとコマセがカップに貼りついてしまい、意図したところにコマセが打てなくなります。また、釣り開始前に仕込んだコマセは、時間の経過とともに乾燥してきてパサついてきます。パサついたコマセは投げた際、空中でバラバラになり、コマセとしての役目が果たせません。そうした時は少しづつ水を加えながら練り直し、状態を整えなければなりません。
さらに、エサのオキアミを触ったり、魚を触ったりしたときは都度手指を洗うため、足元には常に海水が入ったバッカンを置いてあります。時間が経ってしまった刺し餌のオキアミを海水で洗い、海水締めを行うこともあります。また、キープサイズの魚が釣れた時は速やかに血抜きをします。エラと尾筒部を切り、ある程度血を抜いた後、バッカンの海水の中に魚をしばらく入れてさらに血を抜きます。こんな感じで、フカセ釣りのシーンでは釣りをしている最中も水汲みを頻繁に行います。
釣り場を洗う、道具を洗う

釣り場を最も汚してしまうのもフカセ釣りです。釣りが終わったら、帰る前に釣り場に散らばって固着したコマセをしっかりと洗い流さなければなりません。何度も何度も水を汲み、徹底的に洗い流す必要があります。なかなか骨の折れる作業のため、水汲みバッカンの選び方もどうしても慎重にならざるを得ません。もちろん、フカセ釣りに限らず、釣り座を汚してしまったら、必ずきれいに洗い流さなければなりません。
私は釣り場を洗い流す前に、コマセバッカン、エサバッカン、柄杓ホルダーを洗うため、40LTのコマセバッカンに何度も何度も海水をため、バッカンの中に汚れものをまとめて投入し、ブラシで徹底的にこすり洗いします。その後、釣り座全体を洗い流します。そのため納竿後20回以上海水くみ上げを行います。結構腕と膝、腰に来ますが、現地で予洗いを徹底的にやっておけば、帰宅後の本洗いは塩分を真水で完全に洗い流すことがメインとなり、かなり楽になります。
水汲みバッカン、タイプ別選び方

ここからは、どんなものを選んだらよいかわからない方のために、様々な水汲みバッカンの中から、どこに注目して選べば良いのかについて解説します。
素材で選ぶ
水汲みバケツにはさまざまな素材があります。古くは動物の皮革を縫製したものや、テント生地(帆布)の裏面にコーティングしたものを縫製したものなどが主流でしたが、最近は安価なPVC(ポリビニルクロライド(塩化ビニール))樹脂製、軽量でキズに強いEVA(エチレンビニルアセテート(エチレン-酢酸ビニル共重合体))樹脂製がほとんどです。シェアとしてはPVC製30%、EVA製70%といったところでしょうか? 圧倒的にEVA樹脂製が多い印象です。
PVC製はとにかく安価で耐久性の高いものが多く、昔は主流でしたが、PVC樹脂は環境への影響が叫ばれ、産業全体で使用量が徐々に減ってきています。また、PVC製水汲みバッカンは温度依存性が高く、低温時はカチカチに硬くなり、高温時は自立ができなくなるほど柔らかくなってしまい、少し扱いにくいところがあります。
EVA製は耐高温性は弱いものの、軽量でキズに強く、張りがあり、折りたたみ性も良いため、折り曲げ加工を施した製品であれば毎回同じ部分で折りたたむことができ、非常にコンパクトにすることができるため、持ち運び性に優れています。
容量で選ぶ
特に規格として決まっているわけではないと思いますが、釣り用の水汲みバッカンの容量は小さいものは4LT程度、大きいもので10LT程度までラインアップされています。海に投入しますので、5M~10M程度のロープが付属しています。水面までの距離が長い場合、あまり大容量のものは引き上げるのが大変です。体力に自信があれば、10LT級の製品で一気に水を汲めれば効率が良いですが、重量10kgを超えるものを何度も引き上げるのは大変です。私は若い頃は11LTの水汲みバッカンを使っていましたが、現在は体力もだいぶ衰えてきましたので、11LT→8LT→5LT→4LTと、すっかりスケールダウンしてしましました。
形状・タイプで選ぶ

水汲みバッカンには、様々な機能を加えたものが存在します。水を汲みやすくするために、開口部にシンカーが取り付けられているもの、魚を入れたまま水の交換ができるように、ファスナータイプのメッシュ蓋がついているもの、引き上げる際に水がこぼれにくいように開口部がすぼむ形状のもの、角型丸型など、様々なものがありますが、自分の釣りのフィールドに応じて使い分けることが大切です。
水の汲みやすさを重視したければシンカー付きが使いやすいでしょうし、軽さ重視であれば小容量タイプを、釣れた魚をしばらく活かしておくのならば透明性が高く、メッシュ蓋つきのものを選べば良いでしょう。
選んではいけない水汲みバッカンとは?
釣具店で売っている水汲みバッカンであれば、価格が他の製品より飛びぬけて安すぎるなど、よほどの粗悪品でない限り、釣りでの使用を前提として製造されたものであると思いますが、メーカーもわからないような商品は注意が必要です。
特に水汲みバッカンは波があるところで使うと、水の重量よりも強い力が加わります。そのため、ロープを固定するブラケットの取り付け構造がいい加減な商品はあっという間に壊れてしまいます。多くの商品は高周波溶着という方法で取り付けられていると思いますが、溶着が甘く、本体とブラケットがきちんと融着していないものは避けなければなりません。また、ロープをカシメている金具も強度が足りない金具でカシメられたものはしばらく使うとカシメが開いて外れてしまいます。ジッパーがサビてしまう粗悪品もありますので、安すぎるものは避けた方が賢明です。
もちろん、釣り具メーカーが発売している正規品は問題ありません。
水汲みバッカンおすすめ10選
では、ここから水汲みバッカンのおすすめ商品を10種紹介します。
ダイワ 水汲みバッカン S21(K)
シンカー内蔵で、開口部が速やかに沈むため、水の汲みやすさを重視するアングラーにおすすめの商品です。畳むときは上から捻るように力をかければバッカンの上半分が回転し、簡単に潰すことができます。ボトムはキズに強いカップボトムが採用され、耐久性も向上しています。
ダイワ ポータブル活かし水くみ 15(A)
天面にパンチングで穴がたくさんあけられたファスナー式の蓋が付いたコンパクトな水汲みバッカンです。オモリがないため沈みづらいのが玉に瑕ですが、容量約4LTと、水汲みバッカンの中では最もコンパクトサイズのため、頻繁に水を汲むフカセ釣りに向いています。私はコレをメインに使っています。
シマノ 水くみバッカン リミテッドプロ BK-151S 17cm
丸縦長形状、シンカー入り、開口部の縁には傷つき防止の樹脂ガード加工が施されています。耐傷つき性と水の汲みやすさを両立した高級タイプの水汲みバッカンです。本体内側に水量目盛りがついていて、コマセを作る際の正確な水の量を図るのにも便利な高級タイプです。
シマノ メッシュ水汲みバッカン BK-001X 21cm
天面にメッシュ蓋が付いた、魚活かしにも使える容量6LTの水汲みバッカンです。天面のメッシュ蓋は対角線状にファスナーが加工されており、蓋を閉めた状態でも魚が投入しやすくなっています。付属の8Mのロープハンドルは握りやすく、本体を投げ入れる際もロープが出やすい構造となっています。
DRESS 活かし水くみバケツ
ランガン時に持ち運びがしやすい大型樹脂ハンドルが付いた水汲みバッカンです。約10LTの容量があり、メッシュ蓋もついているため、エサ用のエビやカニなどを活かしておくのにも便利です。DRESS製品は非常にスタイリッシュなデザインで、若者を中心に人気急上昇中のブランドです。
MAZUME 観察できる水くみバケツⅡ MZAS-622-01
天面にMAZUMEオリジナルのスラッシュカット加工が施されたメッシュ蓋が付いた水汲みバッカン。ファスナーを開閉することなく魚を投入でき、魚を取り出す際は、天面のメッシュ蓋のジッパーをぐるりと一周外して蓋を開けます。本体サイドにはブクポンプを固定できるホルダーも装備した便利な商品です。
マルキュー ワイドパワーバケツ TR-01
クロダイのかかり釣りを行うなど、座って釣りをするシーンで、ダンゴで汚れた手が洗いやすい広口設計。取っ手ロープにはPVCチューブが被覆され、着水時に先行して倒れ込み、間口を妨げない便利な設計。付属のロープは2Mしかないため、水面まで高さがある場所での釣りで使う場合は長いロープに付け替える必要があります。
サンライン 巾着水汲みバケツ SB-519
水を汲んで引き上げる際、水をこぼさないよう間口がすぼむ巾着タイプの水汲みバッカンです。約14LTの大容量タイプであり、必要な量の水を確実に組み上げることができます。保管時はコンパクトに折りたためます。保管用の巾着袋が付属しているのも大変便利。
キザクラ Kz 水汲みバケツⅢ
底面は四角形、開口部は円形で自立安定性に優れたユニークなバッカン。水をくみ上げる際は開口部が自動的に閉じ、汲んだ水が磯にあたってもこぼれにくい設計。磯フカセ釣りのシーンで快適に水を汲むことに特化したスグレモノ。
釣研 こぼれんバケツ TK241
汲んだ水のこぼれにくさと磯釣りでの耐久性を重視し、岩場や堤防での摩擦を受けやすい本体取り付け部のロープをすべてチューブで補強し堅牢性をアップ、他にはない長方形のフォルムで、引き上げ時にほとんど回転せず、真っ直ぐ引き上げることができる逸品。
たかが水汲み、されど水汲み。自分に合ったものを選ばねば疲労の元になる!

いかがでしたでしょうか? 今回は地味な水汲みバッカンについて掘り下げてみましたが、実は一日単位で考えると、釣りをする数十回は数メートル下から水を汲み上げる作業をしています。毎回引き上げるたびに、【約10kg×水面からの距離(m)】という仕事量の負荷が全身に掛かります。
たかが水汲みバッカンと言うなかれ、自分の身体とフィーリングが合わないバッカンを一日使うとたちまち身体に異変が来ます。水の容量、引き上げる距離、汲み上げる回数を考慮すると、もしかするとロット一日振るう行為以上に体力を消費する行為かも知れません。
少しだけ水汲みバッカンにこだわってみて、自分にベストフィットすると思える商品を探してみてはいかがでしょうか? 自分にベストな商品を見つけられたら、釣行後の疲労が圧倒的に軽減されるかも知れませんよ!











